雑感日記

オタク。女。25↑。

2.5次元について思うこと

先ほど、『狂ってしまった2.5次元作品へ』というブログを拝読しました。

一理あると同時に、「舞台とはこうあるべき」という既存の概念でしか娯楽を享受できないのは、悲しいことだなあと思いました。モブのオタクの一意見なので、軽い気持ちでよんでください。

 

芸術全般にいえることですが、特に娯楽という成分が多分に含まれる芸能は、時代とともに変わっていくもの。もちろん、不変の美しさ・価値というのはありますけど、時代が変われば価値観が変わる。言葉が変わる。鑑賞する側の受け取り方も変わる。それって決して悪いことではなくて、むしろ面白い側面だよな、と思います。それこそが文化なのではないでしょうか。

 

刀ミュの二部のことに触れます。わたしは、初見は『幕末天狼傳』でした。幕末大好き、司馬遼太郎大好きな友達がいたので、新選組が出るならば~と、軽い気持ちでその子を誘って、いっしょに見に行きました。下調べはまったくしておらず、一部・二部という形態なこと、二部はライブのみということは、まったく知りませんでした。調べたのは劇場アクセスくらい。AiiAどっちの駅からも遠いな~くらいです。物販でパンフと、可愛かったのでシュシュは購入しましたが、よもやペンライトが舞台最中に使用するとはよもや思わず、普通の舞台、普通のミュージカルを鑑賞する気分で、手ぶらで開幕。物語が完全に終わって一部が閉幕。このときに「あれ?二幕はどうするんだろう?」と思ったことは、確かに覚えています。

二部になった瞬間、事態についていけず、友達と二人、置いていかれ、うろたえました。何が起こったのか、まったく理解できなかったからです。衣装が違う。歌が違う(ミュージカルではない)。10分くらいは呆然とライブを見ていました。その後、まわりの観客達が心の底から黄色い声を上げて、心の底から応援する気持ちでペンラを振って、心の底から刀剣男士達のファンサに胸をときめかせているのを見て、「なんだかすごい瞬間に立ち会ってしまった」という思いがじわじわと湧き上がってきました。舞台ではなく、半分くらいは観客を見守ってしまったのです。

話はちょっと変わって「真剣乱舞祭」。見に行きました。三日月宗近さんの台詞にこんなものがあります。

「彼岸と此岸」

まさにこの台詞なんですよね。2.5次元。それを二部で実感したのです。二部の形態が好きとか嫌いとか、ミュージカルとして良いか悪いかとかではなくて、ほんとに、この次元が交わる瞬間に立ち会ってしまった感がすごかったんです。役者さんは(失礼ながら)未熟かもしれない。ビジュアル重視かもしれない。でも、それでいいんです。観客を現実から1秒でいい、引き離す。これができたら、舞台は成功なんだと思います。

ほんとうは一部も二部も、次元の曖昧な世界にどっぷり入っていけたらいい。でも、一部のミュージカルパートは、やっぱりこちらはお金を払ってお芝居を見に来ている立場になってしまうんですよね。脚本の良しあしとか、キャラクターの描き方とか台詞とか、此岸の人間として、現実的にいろいろ考えてしまう。演者さんだって、当たり前ですけどその舞台の上でのみ世界(彼岸)を築いていて、それをこちらに見せてくれている。舞台の上と客席で、明確な線引きがある。だからこそ、楽しめる。いわゆる「既存の娯楽」としては、十分な役割を果たしているんです。

それが「パーン!」と吹っ飛んで、キャラクターがこちらへアピールをしてきてくれる、まさにその瞬間。その瞬間こそが、客席の「わたしたち」がまるで「あちら側」へ迷い込んだような、「あちら側」が「わたしたち」にヴェールの向こうから少し手を伸ばしているような、そんな不思議な空間を生み出しているんですよね。

 

ちなみに、わたしは古のオタクなので、テニミュも通っていました。あれも客降りとか、ライブとか、ありました。そのときから模索していたのかも、なんて思ってしまいますね。「彼岸と此岸」を「演者と客席」の間に作り出すこと、曖昧な空間で夢を与えること。当時は、「ファンサでイケメン役者と距離感が近いと錯覚させて、さらに客を呼び込もうとしているんだな」なんて思ってましたし、それも思惑の一つではあると思いますけど。それ以上に、その瞬間だけその世界に迷い込める、を意識していたんだろうな、と。

 

とりあえず、わたしは刀ミュ二部を楽しんでいます。2次元のキャラクターの風を、確かに感じています。楽しもうというモチベは、より楽しい気持ちを生みます。なので、ペンラも全力で振ります。1分1秒でいいので、「あちら側」へいってみる。その体験を多くの審神者さんができるといいのになあ、と思っています。お金を払って「ミュージカル」を楽しめなかった、となるよりは、お金を払って「ミュージカルも見れたし、2.5次元とまじわえた!」体験ができるほうが、はるかにすごくないですか?